陸の指先が、次のページの端に触れた瞬間だった。視界が白く弾け、脳髄を直接揺さぶるような衝撃が走る。 「っ……!?」 声にならない呻きが漏れる。意識が強引に別の場所へ引きずり込まれていく感覚。抗おうとしたが、圧倒的な引力に屈した。気がつくと、そこは薄暗い洋館の一室だった。重厚な家具、深紅の絨毯、甘い芳香が漂う空間。そして、部屋の中央には一人の女が立っていた。黒いメイド服を纏った、若く美しい女給。陸は息を呑んだ。その顔は——結に瓜二つだった。 「旦那様……」 女給は恥ずかしそうに俯いている。目の前には燕尾服を着た男が立ち、獰猛な笑みを浮かべていた。 「さあ、見せておくれ。その美しい身体を」 男の手が女給服のボタンへと伸びる。一つ、また一つと外されていくたび、女給の肌が露わになっていく。白く滑らかな肩、膨らんだ胸元の曲線、くびれた腰のライン。陸は目の前の光景に釘付けになった。 「いや……恥ずかしいです……」 女給は抗いながらも、その声には甘い響きが混じっていた。男は満足げに笑い、女給の身体を引き寄せる。 「今日は存分に可愛がってやろう」 太い掌が女給の太腿を這い上がり、秘められた場所へと伸びていく。 「あっ……!」 女給が甘い声を漏らした。男の指が、熱い花唇を優しく愛撫している。クチュリと濡れた音が静かな部屋に響く。 「んっ……あぁ……旦那様……」 女給の表情が恍惚に染まっていく。潤んだ瞳、上気した頬、微かに開いた唇から漏れる吐息。陸は鼓動が早鐘を打つのを感じた。目の前の女給は、間違いなく結に見える。けれど、これは百年前の記憶のはずだ。なぜ、結と同じ顔の女がここにいるのか。疑問が頭をよぎるが、視線を外すことができない。男の手がより深く秘所を探り、女給の嬌声が高くなっていく。 「あ、あぁん……そこ……いい……」 陸の身体が熱くなる。喉が渇き、呼吸が荒くなった。これは結ではない。わかっている。けれど、結に似た女給が快楽に溺れる姿が、陸の心の奥底にある秘めた感情を刺激する。 「旦那様……もっと……」 女給が懇願するように囁く。陸は息を呑み、固唾を飲んだ。
記憶を染める和紙
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