結城彩は、会議テーブルの端にメモを広げたまま、向かいに座る相沢誠へ視線を向けた。昼の名残を引きずる室内は、夕方の光で少しだけ色を失っている。紙の上には、トップページ、作品紹介ページ、リンク導線といった文字が、矢印でつながれていた。 「見てほしいのは、ここなんだ」 彩がそう言うと、誠は眼鏡の位置を直してメモを覗き込んだ。 「ページごとの役割が、少し重なって見えるな」 「やっぱり?」 「うん。トップは入口、作品紹介は内容の案内。役目が違うのに、同じことを何度も言ってる」 彩は小さくうなずく。昨日まで漠然としていた違和感が、誠の口から言葉になると、急に輪郭を持った。 「だから、作品名と内容が伝わる短い説明文を置きたいんだ。長く語るんじゃなくて、一目でわかるやつ」 「いいと思う。検索で拾われるかどうかより、まず人が入ってきたときに迷わない形だ」 その一言で、彩の肩から少し力が抜けた。 「作品ごとに、短く魅力を伝える。あと、どこを見れば次に進めるかも、ちゃんと見せる」 「なら、説明文は飾りじゃなく案内だな」 誠はメモの余白に、いくつか小さく書き足した。作品名、要点、更新の見え方。どれも派手ではないのに、並べると不思議と全体が締まっていく。 「このサイト、情報はあるのに入口で少し散ってる。だから、読者に最初に渡す言葉を絞ったほうがいい」 「……うん。短い説明文を、ちゃんと作る」 彩は自分の言葉を確かめるように繰り返した。すると、さっきまでバラバラに見えていた改善点が、一本の線にまとまっていく。作品名が先に目に入り、内容がすぐつかめて、次に進む場所も迷わない。たったそれだけのことが、今のサイトには必要なのだ。 「じゃあ方針は決まりだな」 誠の穏やかな声に、彩はメモを閉じた。 「決まった。作品名と内容が伝わる、短い説明文。そこから整える」 会議テーブルの上で、紙の端が夕方の風にわずかに揺れた。彩はその揺れを見つめながら、次に書くべき文の形を静かに思い浮かべていた。
作品を届ける導線
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