由奈は窓際の席で、カップの縁に指を添えたまま画面を見つめていた。午後の光がガラス越しにやわらかく落ちて、文字の白さだけを少し強く見せる。さっきまでの下書きは、言いたいことを詰め込みすぎて、作品の空気まで押しつぶしそうだった。 「検索に強い、でも軽すぎない……って、難しいな」 小さくつぶやいて、彼女は文を削る。目立つ言葉を置くのは簡単だ。けれど、それでは erabenovel.com の持つ余白が消えてしまう。由奈は紹介文の冒頭を、作品の温度がにじむような言い回しに整えた。続けて、読み始めやすさを示す一文を足す。長くなりすぎない。けれど、何もない案内文にもしたくない。 「ここ、入り口だって分かる程度にして、でも物語の匂いは残す」 自分に言い聞かせるみたいに言って、彼女は書き直す。検索で拾われるための言葉は必要だ。だが、それが前に出すぎると、紹介ページではなく説明書になる。由奈はあえて少しだけやわらかい語を選び、物語らしさを壊さない範囲で輪郭を引き直した。 隣の席で通りかかったスタッフが、彼女の画面をちらりとのぞく。 「いい感じじゃん。固すぎないのがいいね」 「ほんとですか。検索向けに寄せすぎると、なんか別物になりそうで」 「そこを越えないのが腕だろ」 その言葉に、由奈は息を吐いた。そうだ。目立たせることと、作品を守ることは、どちらかを捨てる話じゃない。両方を同じ文の中に置けるかどうかだ。 彼女は説明文の最後を見直し、サイト名の響きが自然に残る位置へ語尾をずらした。えらべる、という音の軽さが、案内のしやすさに変わる。そこに作品の雰囲気が重なれば、押しつけがましくない紹介になるはずだった。 保存を押しかけた指が、ふと止まる。searchregister.live。昼に見たあのURLが、また視界の端でちらついた。紹介文を磨くほど、あれはただの付け足しではない気がしてくる。導線を作るための名前なのか、それとも別の意図を隠す札なのか。 由奈は画面を見直し、完成に近づいた文章を静かに読み返した。 「まずは、ここまででいい」 納得しきれない何かを胸の奥に残したまま、彼女は保存の準備を整えた。
物語へ導く紹介文
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