部屋の明かりは半分ほど落としてあった。机に向かう陽介の顔だけが、モニターの薄い光に浮かんでいる。さっきまで画面に並んでいた案内文を見返すたび、胸の奥で小さなざらつきが広がった。 「順位だけ追ってたら、だめになる気がする」 声にすると、その不安はさらに輪郭を持った。見つけてもらうために手を入れてきたのに、いつのまにか数字のことばかり気にしていた。だが、画面に並ぶ文字が薄っぺらければ、誰かの目に留まってもすぐに離れてしまう。 陽介は背もたれに体を預け、深く息を吐いた。 「まず、作品だ」 それは勢いのある決意ではなく、静かな腹決めだった。検索に載ることは入口にすぎない。入口の先にある作品が弱ければ、どれだけ道を広くしても意味がない。彼はその単純な事実を、ようやく真正面から受け止めた。 キーボードへ指を戻す。案内ページの最終調整は、派手な言葉を足すことではなかった。むしろ削ることだ。読者が最初の一歩で迷わないように、余計な説明をそぎ落とし、必要な情報だけを静かに残す。サイト名、作品への入口、どこを見ればいいのか。その順番を整えるだけで、空気が変わる。 「ここから読めます、って、ちゃんとわかればいい」 入力しながら、陽介は自分の作ったページを初めて訪れる人の気持ちを想像した。急かされる感じがないこと。押しつけがましくないこと。それでいて、すぐ先に作品があると伝わること。案内ページは主張するための場所じゃない。作品へ手を伸ばすための、細い橋だ。 数行直すたび、画面の印象が少しずつ澄んでいく。陽介は保存前の文を読み返し、納得できない箇所をもう一度消した。 「よし、これなら……」 言い切りそうになって、彼は口元を引き締めた。完成ではない。ただ、迷わせない形には近づいている。検索の結果だけを追うのではなく、読者が自然に作品へ進めるように整える。そのための最終調整だ。 保存ボタンに指が触れる直前、陽介は一度だけ画面全体を見渡した。明かりの落ちた部屋の中で、案内ページは静かに整っている。彼は小さく頷き、最後の修正を確かめるようにカーソルを合わせた。
検索に届く物語
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