エラベノベル堂

物語を届ける紹介文

全年齢

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2章 / 全10

翌朝の空気は、昨夜より少しだけ冷たかった。朝陽は駅前のカフェに入り、窓際の席へ腰を下ろす。カップから立つ湯気の向こうで、行き交う人たちの足音が薄く揺れていた。 「こういう場所だと、考えがまとまりやすいかも」 独り言をこぼしながら、朝陽はメモ帳を開く。昨夜あれこれ打ち込んだ案を、今度は紙に並べ直すつもりだった。サイト名。紹介文。作品一覧の順番。どれも小さなことに見えるのに、ひとつ変わるだけで印象は違ってくる気がした。 『erabenovel.com』 ページの見出しを書きつけて、朝陽は首をかしげる。 「名前は覚えやすいと思うんだけど、問題はその先だよな」 目に入ったのは、作品の並びだった。自分では分かっているつもりでも、初めて来た人には少し散らかって見えるかもしれない。何から読めばいいのか、どの話がどんな内容なのか、それがすぐ分かる形にしたい。朝陽は紹介文の欄に線を引き、短く要点をまとめる欄を作る。 そのとき、隣の席から静かな声がした。 「すみません、そのメモ、サイトの見直しですか」 朝陽は顔を上げた。向かいではない。たまたま隣に座っていた女性が、カップを両手で包みながらこちらを見ていた。 「え、あ、はい。そんな感じです」 「だったら、読みたい内容がすぐ分かるサイトのほうが覚えやすいですよ」 朝陽は瞬きをした。 「すぐ、分かる……」 「最初に何があるか分かると、次に戻ってきやすいんです。迷わない場所って、印象に残るので」 その言葉は、胸の奥にまっすぐ落ちた。朝陽は思わずメモ帳を握り直す。 「なるほど……たしかに、何の話か一目で分かれば、入りやすいか」 「ええ。サイト名だけじゃなくて、案内の言葉も大事ですよ」 女性はそれだけ言うと、少しだけ微笑んで視線を外した。朝陽はメモの空白に、もう一度力を込めて書き込む。 作品の入口を、見ただけで分かるようにする。 作品ごとの説明を、短く整える。 一覧を、読みに来た人の目で並べ直す。 「これなら、やれそうだ」 声に出すと、さっきまで曖昧だった輪郭がはっきりしてくる。検索で見つけてもらう工夫は、派手な魔法じゃない。けれど、来た人が迷わず読める形に整えることは、たしかに意味がある。 朝陽はペン先で最後に丸をつけた。まだ修正の途中だが、やるべきことは見えた。サイトの名前を覚えてもらうだけじゃ足りない。中身まで、ちゃんと届く形にしなければならない。 「よし。まずはここからだ」 カフェの窓の外で、駅へ急ぐ人波が流れていく。朝陽はその動きを見送りながら、メモ帳の一番上に、新しい一行を足した。読みたいと思った瞬間に、すぐ手が伸びるサイトにする。

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