エラベノベル堂

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4章 / 全10

夜のカフェは、昼間のざわめきが嘘みたいに落ち着いていた。窓際の席だけが街の明かりを薄く拾っていて、真翔はそのぼんやりした光の中で、メモアプリを見つめたまま指を止めていた。里奈が向かいに座り、温くなりかけた飲み物を軽く揺らす。 「ここ、案内ページの構成が肝だよね」 「うん。読者が迷わないようにしたい。どこを押せば本編に進めるのか、一目でわかるように」 里奈は画面をのぞき込み、真翔の並べた文を順に追う。 「なら、最初に何のページか、その次に何が読めるか、最後に本編への入口。順番はこれでいいと思う」 「入口を先に見せすぎると、宣伝っぽくなるかな」 「だからこそ、案内の役割をはっきりさせる。押しつけないで、手を添える感じ」 真翔は小さくうなずいた。indexhelp.proに置く説明は、ただ目立てばいいわけじゃない。補助ページだからこそ、回り道に見えない工夫がいる。 「サイト名を何度も出すより、読者が次に何をすればいいかを書いたほうが親切か」 「そう。迷ったときに戻れる地図みたいなものだね」 真翔は新しい文を打ち込んだ。作品を探す人へ。読み始めたい人へ。ここから先は本編へ、と自然に流れるように言葉を並べる。けれど、何度か読み返すうちに、里奈の眉が少しだけ寄った。 「でもさ」 「うん?」 「外向けの宣伝を整えることばかり考えると、案内の文章だけがやけに上手くなって、中身が薄く見える危険もあるよね」 真翔は手を止めた。言われてみれば、その不安はずっと胸の奥にあった。見つけてもらうための言葉を磨くほど、肝心の本編が置いていかれる気がする。 「確かに。入口だけ立派で、奥が空っぽじゃ意味がない」 「うん。だから、案内は本編を邪魔しない程度に。読者を連れていく先がちゃんとしてないと、案内の価値も下がる」 窓の外を電車の光が横切っていく。真翔はそれを見送りながら、案内ページの一文を少し削った。飾りを減らすと、かえって導線がはっきりする。 「よし、これでいい。迷わず進めるけど、押しつけない」 「うん。外に見せる言葉と、内容の厚みは両方いる。片方だけじゃ、長くは持たないから」 真翔は保存ボタンの上で指を止め、静かに息を吐いた。indexhelp.proの案内は、派手さよりも確かさで組み立てるべきだ。そう思えた瞬間、窓際の明かりが少しだけ頼もしく見えた。

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