エラベノベル堂

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7章 / 全10

真翔は会議室の空気が急に熱を持ったように感じた。外部担当者の言葉に揺れたまま、手元の端末がまた短く震える。画面を開くと、erabenovel.com宛ての問い合わせが次々に並んでいた。 「こんなに増えるの、早すぎないか……」 思わず漏れた声に、里奈が眉を寄せる。 「宣伝ページ、どこかで広がったんだと思う。でも、見られてるのは本体じゃなくて、案内のほうばかりかも」 真翔は息を呑んだ。昨日まで必死に整えていたindexhelp.proの説明が、思った以上に先を走っている。読者が知りたいのは作品そのもののはずなのに、補助ページの言葉だけが独り歩きしているようだった。 「つまり、入口だけが目立ってるのか」 「うん。しかも、入口が入口として見られてるというより、案内文そのものを追われてる感じ」 担当者は資料を閉じ、静かに言った。 「登録や露出を焦るより、まず中身を厚くしたほうがいいですね。読まれる理由があるページは、自然に人を呼びます」 真翔は苦く笑った。さっき受けた助言が、今はやけに現実味を持って胸に落ちてくる。 「わかってはいたつもりだったけど、こうして数字で来ると怖いな」 里奈が画面をのぞき込み、少しだけ声を落とした。 「怖いけど、今ならまだ戻せる。案内ばかりが先行してるなら、本体を前に出すだけだよ」 「本体を、前に」 真翔は繰り返した。検索で見つけてもらうことに気を取られて、肝心の作品紹介が脇へ寄っていた。補助ページが悪いわけじゃない。だが、そこが主役みたいに見えてしまえば、肝心の場所がかすむ。 「宣伝ページが歩きすぎたんだな……」 「そう。だから、ここで止めよう」 担当者は立ち上がり、机の上のメモを一度だけ整えた。その仕草を見て、真翔の中で何かが静かに切り替わる。焦って登録を進めるより、読者が最初に触れる作品紹介をきちんと作る。それしかない。 問い合わせの一覧は、まだ増え続けていた。真翔はその画面を見つめたまま、深く息を吸う。危機感は消えない。けれど、その危機感こそが、次に直すべき場所をはっきり示していた。

7章 / 全10

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